片頭痛予防注射「エムガルティ」はじめました💉

片頭痛予防注射「エムガルティ」はじめました💉

2021/6/14(月)

みなさん、おはようございます。週末はいかがお過ごしでしたか?僕は、「キリンホームタップ」というビールサーバーが届いて、とても嬉しいです。緊急事態宣言で外食ができなくても、自宅で美味しい生ビールを飲むことができるんです🍺僕はそんなにお酒を飲まないので小さなグラスに2杯くらいなのですが、本格的な感じが嬉しく、毎日のちょっとした楽しみができました。

さて、今日は悩まされている方が多い、片頭痛についてのお話です。

当クリニックは内科や整形外科、怪我の縫合など、幅広く診察していますが、僕のもともとの専門は脳神経外科でした。メスを置いて、内科や整形外科の勉強をするまでは、30年以上にわたり脳神経外科医として、くも膜下出血・髄膜炎・脳腫瘍などの命に関わる頭痛の診療に携わってきました。そして、外来では片頭痛の患者さんの相談を受け、その方にあったお薬を処方しながら、患者さんの頭痛に寄り添ってきました

時代の流れとともに片頭痛の発作時の治療薬は進歩していて、今ではトリプタン系のお薬(たとえばイミグランなど)で、多くの患者さんは痛みが軽快するようになっています。

しかし、頭痛の発作自体の頻度や痛みの程度はなかなか改善しないのが実情です。片頭痛で悩む患者さんは、次の発作がいつくるかと思うと不安でしょうし、日常生活に支障が出てしまい、とても気の毒です。

なんとか、頭痛の発作自体を抑えてあげたい思い、頭痛発作の頻度が多い患者さんには予防薬を飲むことを勧めてきました。それでも、診察の際にお話を聞いていると、あまり予防薬の効き目を実感できない方が多い印象だったので、なにか、もっと効き目の良い片頭痛の予防薬はないかなと、ずーっと思っていました。

そんな中で登場したのが、「エムガルティ」で、片頭痛発作が起こるのを抑えるために作られた、新しいタイプのお薬(飲み薬ではなく、注射薬)です。注射することによって、片頭痛の日数がへり、痛くなった時に飲む急性期治療薬を使う日数が減るという効果が期待されています。

前から、海外での臨床試験の結果では片頭痛の発作予防にかなりの有効性があることが報告されていて、この度、日本でも使えるようになったんです。

辛い片頭痛に悩まれている患者さんは「すぐに使いたい!」と思われるかと思うのですが、対象となるのは、片頭痛が1ヶ月に4日以上起こり、飲み薬の予防薬による治療が有効でないと判断された患者さんです。そのため、現在、片頭痛があって辛い方でも、まだ飲み薬の予防薬を飲まれたことがない方には、まずは飲み薬を処方いたします。

そして、飲み薬の予防薬が有効ではなく、エムガルティを使うことになったら、まず初回は2本注射して、お薬の血中濃度を上げ、安定した状態にします。その後、翌月からは毎月1本を注射します。

ただ、健康保険が適用されても、注射が1本あたり13,500円(3割負担の方)と高額となってしまうことを、ご注意くださいね。

長くなってしまいましたが、今日は片頭痛のあたらしい治療についてのお話でした。日常生活をおびやかす片頭痛で毎日が辛くならないように、痛みの発作をうまくやり過ごし、さらにはできるだけ発作自体の回数も抑えられるよう、患者さんの状況や頭痛のタイプに合わせて治療をしていきます。片頭痛でお悩みの方には、痛くなった時に飲むお薬と予防のための飲み薬、そして予防のための注射を組み合わせてご提案しますので、一緒に、ご自分に合った治療を見つけていきましょう。