花粉症

花粉症とは

花粉症といえば、今や国民病といわれていますが、意外にも戦後に初めて報告された新しい病気です。日本では、1960年代からわずか40年間で花粉症(特にスギ花粉症)が激増しました。それはスギ花粉の増加・排気ガス・大気汚染・食環境の変化・不規則な生活リズム・住宅環境の変化などが原因とされています。現在、日本人の約25%が花粉症だといわれています。

花粉症とはどんな病気?

花粉症とは、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって、くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどのアレルギー症状を起こす病気です。花粉という異物(アレルゲン)が体内に侵入するとIgE抗体という物質ができます。その後、再び花粉が体内に入ると、鼻や目の粘膜にある肥満細胞の表面にある抗体と結合し、肥満細胞から化学物質(ヒスタミンなど)が分泌され、花粉をできる限り体外に放り出そうとします。そのため、くしゃみで吹き飛ばす、鼻水・涙で洗い流す、鼻づまりで中に入れないよう防御するなどの症状が出てくるのです。季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれています。


花粉症はアレルギー性鼻炎の一種

アレルギー性鼻炎は、原因物質(アレルゲン)の種類によって通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎とに分類され、季節性のアレルギー性鼻炎のことを花粉症といいます。最近は、その両方に悩む人や、複数の花粉に反応する人も増えており、一年中くしゃみ・鼻水・鼻づまりや目のかゆみ・異物感に悩まされるという人も少なくありません。

1) 通年性アレルギー性鼻炎

アレルゲンが一年中あるので症状も一年中あります。

主なアレルゲン

ダニ・家の中のちり(ハウスダストなど)・ゴキブリなどの昆虫、ペットの毛・フケなど。

症状

喘息、アトピー性皮膚炎などを合併することがあります。

2) 季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)

原因となる花粉の飛ぶ季節にだけ症状があります。日本では、約60種類の植物が花粉症を引き起こすと報告されています。関東地方を例にとると、2月頃からスギ花粉の飛散がはじまり4月下旬に飛散が少なくなります。その後、ヒノキ科花粉の飛散がはじまり、5月末頃まで続きます。花粉症の症状は、花粉の飛散量に比例して悪化する傾向にあります。

主なアレルゲン

スギ、ヒノキ、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、シラカンバなど

症状

鼻の三大症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)だけでなく、目の症状(かゆみ、涙、充血など)を伴う場合が多く、その他にのどのかゆみ、皮膚のかゆみ、下痢、熱っぽい感じなどの症状が現れることがあります。さらに、シラカンバ、ハンノキ、イネ科花粉症などの人が、ある果物や野菜を食べると、口の中がかゆくなり、腫れたりする「口腔アレルギー症候群」という症状もあります。

花粉症の診断

「花粉症かな?」と思ったら、自分で判断せずに医療機関を受診して下さい。花粉症を起こしている原因植物も、症状の出方も人によってさまざまです。まずは原因を探り、自分に合った治療方法を見つけることが大切です。

本当に花粉症なのか、花粉症であるなら何が原因なのかは、次のような検査によってわかります。

1)血中IgE検査

血液検査で、血中の総IgEの量とアレルゲン(スギやヒノキなど、アレルギーの原因物質)を調べます。

2)皮膚反応検査

皮膚の表面を少しひっかき、花粉のエキスで刺激して、その反応をみるというテストです。

3)鼻粘膜誘発テスト

原因と考えられる花粉エキスがしみ込んだ紙を鼻の粘膜に貼り付け、反応をみるテストです。

このほか、花粉のエキスを点眼して目の反応をみるテストや、目の粘膜などをブラシで使ってとり、アレルギーを起こす白血球がないか顕微鏡で観察する検査などを行うこともあります。

花粉症対策

1)医療機関での治療

花粉症の治療には、症状を抑える「対症療法」と、完全に治すための「根治療法」があります。

対症療法 … 内服薬、点鼻薬、点眼薬を使った薬物療法、レーザー手術
根治療法 … アレルゲン免疫療法


2)薬物療法

花粉症治療の基本は、薬を使った対症療法です。

抗ヒスタミン薬

薬剤治療の基本になるのが「抗ヒスタミン薬」です。ヒスタミンの働きをブロックし、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった症状を抑えてくれます。これまでは「花粉症の薬は眠くなる」と言われがちでしたが、眠気などの副作用が軽減された「第2世代抗ヒスタミン薬」が登場し、今ではこちらが主流になりました。

抗ロイコトリエン薬

ロイコトリエンは、ヒスタミンと同じようにアレルギー反応を起こす化学物質です。特に、血管を拡張させる作用がある(粘膜が腫れて鼻づまりを起こす)ため、このロイコトリエンの働きを抑制する「抗ロイコトリエン薬」は鼻づまりが強いときに使われます。

鼻噴霧用ステロイド薬

くしゃみや鼻水などの鼻の症状が強いときに使われます。鼻噴霧用ステロイド薬は鼻だけに効くようにつくられているため、副作用は少なくて済みます。

経皮吸収型製剤

アレサガテープ(商品名)は、アレルギー性鼻炎の治療薬として世界初となる経皮吸収型製剤であり、1日1回の貼付で24時間安定した効果が得られるといわれています。経皮吸収型製剤であるため、嚥下能力が低下した患者さんや誤嚥リスクのある患者さんへの投与も可能であること、患者さんの服薬状況がご家族や介護者にも目視で確認でき、投与タイミングが食事により影響され無いことなど、患者さん負担も少なく服薬アドヒアランス向上が期待されています。

点眼液

このほか、目の症状に困っている場合は、「点眼用抗ヒスタミン薬」、「点眼用遊離抑制薬」、「点眼用ステロイド薬」などが使われます。コンタクトをしたままでも使用できる点眼液(アレジオン点眼液)もあります。

3)レーザー手術

薬を使った治療で十分な効果が得られない場合、特に鼻づまりの症状が強い場合、レーザー手術を行うこともあります。鼻粘膜の表面に麻酔をかけ、レーザーで粘膜を焼き、アレルギー反応を抑えるという治療法です。

4)免疫療法

根治療法として期待されているのが、「アレルゲン免疫療法」です。花粉症の原因となっている物質(=アレルゲン)を少ない量から取り入れ、徐々に増やして、免疫を獲得しようという治療法です。花粉に反応する体質自体を変えていこうという考えです。
 治療には2~3年かかりますが、花粉症が治り得る唯一の治療と言われています。これまでは注射で行われていましたが、最近では「舌下免疫療法」に関心が高まっています。舌の裏側に薬を投与し、そのまま1分間待ってから飲み込むというものです。注射のように痛みもなければ、頻繁に通院する必要もありません(通院は1カ月に1回ほど)。



5)セルフケア

花粉症の薬には、薬局などで購入できる市販薬もたくさんあります。その多くが、抗ヒスタミン薬です。ほとんどが第一世代の抗ヒスタミン薬ですが、一部、眠気を起こしにくい第二世代の抗ヒスタミン薬もあります。また、点鼻薬、点眼薬も市販されています。いずれも、薬剤師さんがいる薬局で、現在の症状や他に飲んでいる薬などの情報を伝えた上で、相談しながら選ぶようにしましょう。

 一般的に、市販薬は即効性が高く、症状を緩和するのに有効ですが、効果が持続しにくいと言われています。一方、処方薬の良い点は即効性は劣るものの、症状が出る前に服用することで症状を予防できる、効果を持続しやすいことです。また、検査で原因を突き止めてから治療を行うことで、自分に合った治療法を選べるというメリットもあります。

 このほか、セルフケアで大切なのは、花粉との接触をできるだけ避け、予防するということ。次のようなことに気をつけましょう。

  • 花粉飛散情報に注意する
  • 花粉が多く飛んでいるシーズンは、外出時にはメガネとマスク、帽子を身に着ける
  • 上着は、表面がつるつるとした素材のものを着る
  • 帰宅したら玄関で花粉をよくはらい、洗顔、うがいをして、鼻をかむ
  • 花粉が多く飛んでいる日は窓を開けない
  • 掃除をこまめにする
  • 花粉が多く飛んでいる日は布団を外に干さない