頭痛外来

▷院長ブログ「世界初「ジタン系」の片頭痛治療薬「レイボー」」2022/6/11(土)

▷院長ブログ「片頭痛予防の新しい注射薬「アイモビーグ」はじめました💉」2021/9/8(水)

▷院長ブログ「[院内勉強会]群発性頭痛に対する在宅酸素療法(HOT) 🏠」2019/6/19(水)

頭痛外来

市販薬を飲んでも良くならない頭痛はありませんか?たくさんの頭痛薬を飲んでしまっている方はいませんか?頭痛にもいろんなタイプがあります。いつ頃から痛いのか?一日のうちいつ痛いのか?どこが痛いのか?どのくらい続くのか?どんな痛みか:心臓が頭にあるようにズキンズキン痛いか?頭が痛くて目が覚めることがあるか?吐き気はあるか?どの季節に起こるか?命に関わる頭痛ではないか?

日本で慢性頭痛に悩んでいる方は、約4,000万人いると言われていて、原因や症状は患者さんごとに様々です。そのため、頭痛の診療には、詳細な問診が重要になってきます。35年以上、脳神経外科医として患者さんの頭痛に寄り添ってきた経験がありますので、患者さんひとりひとりに応じたオーダーメイドの治療を心がけております。安心して来院されてください。

1)片頭痛

片頭痛は、主にこめかみから頭の側面にかけて、ズキンズキンと脈打つような痛みが繰り返し起こるタイプの頭痛です。

片頭痛に悩んでおられる方は多く、「仕事に集中できない」「次に来る発作が不安になる」「人との約束を遠ざけてしまう」など、日常生活にも支障をきたしてしまいます。

世界的なデータを見ても、日常生活に支障をきたす疾患の第2位となっています。

片頭痛は女性に多く、男性の約3.6倍というデータがあり、特に30-40代の女性に多くみられます

片頭痛の原因は、ストレスや疲れ、天候の変化や温度差、アルコールなど、本当に様々ですが、特にストレスの影響は大きく、約60%の患者さんはストレスがあると言われています。

片頭痛が始まる前兆として、約25-30%の方が、視覚症状や感覚症状、言語症状などを感じています。この前兆は、だいたい5-20分程度続き、長くても60分くらいです。前兆として最も多い症状は視覚症状で、閃輝暗点(せんきあんてん)と呼ばれるキラキラした光や点、線などが見えたり、視野の一部が見えにくくなったりする症状が現れます。

女性の片頭痛は月経周期に関係があり、生理前にエストロゲンが急激に低下することによって片頭痛を引き起こすと言われています。

このような、生理前から生理中に起こる片頭痛には前兆がないことが多いようです。この時期に起こる片頭痛は重く持続時間も長く、一度よくなっても再発しやすい、そして頭痛薬も効きにくいと、患者さんにとっては辛い特徴があります。

片頭痛は、経験のある方にしかわからない辛さで仕事や日常生活を脅かします。当クリニックでは患者さんから詳しくお話を聞いて、患者さんひとりひとりに応じたオーダーメイドの治療をおこなっていきます。

世界初「ジタン系」の片頭痛専用治療薬「レイボー」

現在、片頭痛の専用治療薬としては20年前に発売されたトリプタン系のお薬が主流で、痛みが有効に抑えられている患者さんは多い印象があります。しかしトリプタン系のお薬は、頭痛の原因物質が出るのを抑制する際に、一緒に血管にも作用して血管を収縮させるため、胸が苦しくなったり動悸を感じて、お薬を使うことができない患者さんも少なくありませんでした。レイボーは血管収縮への影響が少ないため、これまでトリプタン系のお薬が使えなかった患者さんには期待できると言われています。

レイボーは、頭痛の「改善度」だけではなくて「消失度」をみた試験で評価をしているため、「少し痛みがやわらいだ」ではなく「痛みが消えた」状態を期待できるお薬です。

また、飲むタイミングについても特徴があります。これまでのトリプタン系のお薬は「頭痛が起きたらすぐに飲む」ことによって頭痛を悪化させないようにすることが大切でしたが、レイボーは飲むタイミングが効果に影響しにくいお薬です。

そして、服用してから24時間後も効果が持続すると言われています。

ただ、血管への副作用は少ないのですが、脳の興奮を抑えて脳を休ませるお薬のため、眠気やめまいがでるという副作用が報告されています。そのため、レイボーの服用後は、運転は避けなければいけません。

この、新しいジタン系のお薬「レイボー」は、これまでトリプタン系のお薬が効かなかったり、副作用が出て使えなかった患者さんには、ぜひ使っていただきたいと思います

片頭痛の予防療法

さらに、片頭痛の発作が起きた時にお薬(急性期治療薬)を飲むだけでは生活上の支障を十分に治療できない方には、予防療法が必要です。また、発作が起きた時の急性期治療薬を乱用してしまう場合も、「薬物乱用頭痛」を誘発してしまう危険性があるため、予防療法が必要です。

予防療法を行う場合、まずは飲み薬タイプの予防薬を使い、それでも効果のない患者さんには、注射タイプの予防薬を使います。

現在、日本で使える注射タイプの片頭痛予防薬は「エムガルティ」「アイモビーグ」「アジョビ」の3種類あり、当クリニックではすベてを扱っています。これらは、片頭痛発作が起こるのを抑えるために作られた、新しいタイプのお薬(飲み薬ではなく、注射薬)です。注射することによって、片頭痛の強さや片頭痛が起こる日数がへり、痛くなった時に飲む急性期治療薬を使う回数が減るという効果が期待されています。

在庫があれば、ご予約なしでも来院時に注射をすることが可能です。

片頭痛の予防外来

2)三叉神経痛

三叉神経痛とは顔に痛みのでる病気です。顔の感覚(いたい、さわった、つめたい、あついなど)を脳に伝える神経が三叉神経ですが、この神経に痛みが起こり、顔を痛く感じるのが三叉神経痛です。三叉神経痛の顔の痛みはかなり特徴的です。痛みは非常に強いものですが、突発的な痛みです。一瞬の走るような痛みで、数秒のものがほとんどで、ながく続いてもせいぜい数十秒です。三叉神経痛では洗顔、お化粧、ひげそり、そしゃく(ものをかむ動作)などで痛みが誘発されます。痛みで歯磨きができないこともあります。触ると痛みを誘発されるポイントがあり、上まぶたや鼻の横などを触ると、顔面にぴっと痛みが走る、という場合は三叉神経痛の可能性が高いです。

三叉神経痛はカルバマゼピン(商品名、テグレトール®)というお薬で、8割以上の人で一時的には痛みが消失または改善します。ふらつきやねむ気などの副作用がときにでます。このようなときにはお薬の量や飲み方を工夫する必要があります。

3)群発頭痛

群発頭痛眼の周りや眼の奥にはげしい痛みを起こします。痛みの性質としては、激痛で、眼をえぐられるような痛みです。三叉神経痛とおなじく非常にはげしい痛みですが、三叉神経痛よりも長い痛みです。また痛みにともなって痛みと同じ側の眼から涙が流れたり、鼻みずが出たりするのも特徴です。お酒を飲むと痛みが誘発される場合があります。しばらく痛みのおこりやすい時期がつづくと半年くらい痛みのない時期がつづくという特徴があります。治療としては、スマトリプタンの皮下注射や点鼻剤の他に在宅酸素療法(HOT)があります。

在宅酸素療法(HOT)

群発頭痛の急性期には酸素吸入が有効であると言われていて、在宅酸素療法(HOT)が2018年から保険適用になりました。当クリニックでも在宅酸素療法を導入しておりますので、医師にご相談ください。

4)命に関わる頭痛

稀ですが命に関わるような怖い頭痛もあります。代表的な病気はくも膜下出血、髄膜炎、脳腫瘍などです。これらの病気は、脳内に原因があり生じるもので頭全体が持続的に非常に痛くなります。

くも膜下出血は一般的には脳動脈瘤の破裂により起こるもので、ハンマーで頭を殴られたぐらい痛く、通常、経験しないような激しい頭痛です。痛みが強く急に起こるので意識を失う場合もあります。

髄膜炎は、何らかの原因で脳内に感染を起こしたもので、高熱・意識障害・けいれんなどがみられます。くも膜下出血や髄膜炎を患った患者さんは、歩いて来院される方はなく救急車対応になります。

脳腫瘍による頭痛は “目覚め型の頭痛”と称され、典型的には頭が痛くて目が覚めて、嘔吐すると頭痛が軽快するというものです。このような状況が続く場合はMRIなどの脳の検査が必要になります。このような場合には、経験豊富な脳外科専門医である阿部院長が診察し、必要であればより専門性の高い脳外科医をご紹介致します。ぜひ、ご相談ください。