肥満症

 

 いつでも食べたい物が手に入る豊かな時代になり、肥満による健康問題が増えています。近年は欧米だけでなく、中国などのアジア諸国でも肥満が急増中です。日本では成人における肥満の割合は約30%。最近30年間の推移を見ると、成人男性の肥満が増え続けています。健康を支える上で肥満に対する対策が課題となっています。

 日本における肥満の基準は「BMI(体格指数)25以上」と、内臓脂肪蓄積の指標となる「ウエスト周囲長 男性85㎝以上、女性90㎝以上」と定義されています。肥満の目安となるBMI(体格指数)は、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められます

BMI=体重 (kg) ÷ 身長 (m)²

例:身長160cm体重68kgの場合 BMI=68÷(1.6×1.6)=26.6

 最近では、内臓脂肪、皮下脂肪と区別しないで両方の質や量の異常を診ることが診療において重要であるといわれています。当クリニックでは肥満症の相談を常時、受け付けております。どうぞお気軽にご相談下さい。

高度肥満

 日本人の成人でBMI35以上の高度な肥満の方は、0.2~0.3%といわれています。欧米と比べると少ないですが、日本人でも体重が100kgを超えている人も珍しくなくなってきました。今後、このような肥満度の高い人が増えてくる可能性があるため、新しい診断基準ではBMI35以上が「高度肥満」と定義され、診断や治療の対象と位置づけられました。

肥満症の診断に必須となる合併症

肥満症の診断に必須となる合併症は11種類あります。

肥満に関連する悪性疾患

 肥満に関連する脂肪肝のひとつで、お酒を飲まない人に発症する非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は内臓脂肪と関連が深く、この病態から肝硬変や肝がんに進展することがわかっています。さらに、最近の研究において胆道がん、大腸がん、乳がん、子宮内膜がんは、肥満の人に発症や再発が多いと報告されています。肥満に関連する悪性疾患としては、胆道がん、大腸がん、乳がん、子宮内膜がんです。肥満はがんの発症にも関与するものであり、予防と警鐘の必要があります。

肥満症の治療の重要性

 肥満は、脂肪組織が体内に過剰に蓄積した状態です。健康に問題がなければ治療の必要はありませんが、BMI25以上で、肥満によって合併症が発症したり、健康に問題が生じたりしている場合は「肥満症」と診断され、減量が必要になります。
体重の増加は日常生活でよく経験すること。スタイルの変化を気にする方は多いですが、蓄積した脂肪が病気を引き起こし、肥満症につながることは、意外に知られていないのではないでしょうか。

 過剰な脂肪の蓄積は、さまざまな病気に近づいている状態ともいえます。これからはBMIの数値と一緒に起こりうる合併症なども意識して、肥満を予防していく時代です。

 高度肥満者は社会的問題や精神的問題を抱えていたり、うつ病、統合失調症、摂食過剰症などの疾患を合併していることもあり、精神科専門の医師と連携して治療に当たる必要がある場合もあります。

 肥満症の中には稀ですが脳下垂体腺腫によるものもあります。クッシング病といわれており、「中心性肥満」を呈します。満月様顔貌・おなかがぽっこりでるというような肥満です。若年女性で生理不順があり、このような肥満がある方は要注意です。当クリニック院長の専門分野ですので、ぜひ、ご相談下さい。

肥満症の治療

1. 治療の中心は食事療法と運動療法

 まず3〜6ヶ月で現在の体重から3%の減量を目標としましょう。体重3〜5%の減少で脂質異常症、糖尿病、肝機能障害、高血圧などが改善することといわれています。

2. 体重測定の習慣化が肥満症治療の第一歩
3. 生活リズムの修正

朝食の欠食、夕食時間の遅延などは肥満の方によく見られる食行動パターンです。夜型のライフスタイルの定着は明らかに肥満リスクを増大させる一因となっています。

4. 早食いの是正:よく噛んで食べること

肥満症の方はおおむね「早食い」です。よく噛んで食べれば、カロリーを多く摂取しなくても、満腹になることが証明されています。かむことによって脳内からヒスタミンが分泌され、このヒスタミンが視床下部にある満腹中枢に働きかけて満腹感を起こさせることがわかっています。

5. 抗肥満薬:商品名:サノレックス

現在、日本で認可されている唯一の薬剤ですが、誰にでも使用できるというわけでなく健康保険適応は高度肥満症(BMI35以上)の患者さんです。

2週間処方が原則で少量から始め増量していきます。使用限度は3か月です。

主要な薬理学的特性はアンフェタミン類と類似しており、依存性がでることがあります。また、数週間以内に薬物耐性がみられるとの報告もあります。使用にあたっては医師とよく相談しましょう。

【作用】

食欲中枢への直接作用及び神経終末におけるノルアドレナリン,ドパミン,セロトニンを介した機序により摂食抑制作用を示すとともに消化吸収を抑制することにより摂取エネルギーを減少させ,肥満を是正すると考えられています。

【適応】

食事療法及び運動療法の効果が不十分な高度肥満症(肥満度が+70%以上またはBMIが35以上)が対象です。

【禁忌】

  1. 本剤の成分に過敏症の既往歴
  2. 緑内障(眼内圧が上昇)
  3. 重症の心障害(症状悪化)
  4. 重症の膵障害(インスリン分泌抑制作用を有する)
  5. 重症の腎・肝障害(代謝又は排泄が遅延)
  6. 重症高血圧症(カテコラミンの昇圧作用を増強)
  7. 不安・異常興奮状態(中枢興奮作用を有するので興奮状態を増悪)
  8. 薬物・アルコール乱用歴(一般に依存性,乱用が起こりやすい)
  9. 精神分裂病(外国で高用量で精神分裂病の症状悪化の報告)
  10. MAO阻害薬投与中又は投与中止後2週間以内の患者(相互作用参照)
  11. 妊婦又は妊娠の可能性
  12. 小児