前立腺肥大症

前立腺とは

前立腺は男性にだけある生殖器で、膀胱のすぐ下にあり、尿道を取り囲むように存在しています。大きさは成人でクルミ程度(20mL前後)です。

前立腺肥大症とは

前立腺は加齢とともに、男性ホルモンの影響を受けて肥大していきます。前立腺が肥大すると尿道が圧迫され、尿が出にくくなったり、何度もトイレにいくなど、「尿のトラブル」があらわれます。このような状態を前立腺肥大症といいます。55歳以上の男性の約5人に1人は前立腺肥大症といわれています。前立腺肥大症が進行することで前立腺がんになることはありません。

症状

1) 排尿症状:尿が出にくい
  • 尿の勢いが弱く時間がかかる
  • いきまないとなかなか出ない
  • おしっこをしている間に何度か途切れてしまう
2) 排尿後症状:尿が出きらない状態
  • おしっこをしたのに、まだ残っている感じがする
  • トイレのあと、おしっこが漏れてしまうことがある
3) 畜尿症状:尿が十分にためられない
  • おしっこを我慢できないことがある
  • 夜中に何度もトイレに起きてしまう
  • 一日8回以上、トイレに行く
4) 尿閉:尿が出なくなる

前立腺肥大症が悪化すると、尿道が完全にふさがってしまいおしっこが出なくなり、腎臓に悪影響をおよぼす可能性があります。このような場合は早めに医療機関を受診することが大切です。

検査

問診

IPSS(国際前立腺症状スコア):排尿症状を点数化し、その合計点で現在の排尿の状態がわかります。0~35点で高いほど重症です。

QOLスコア:排尿状態でどのくらい困っているかがわかります。0~6点、高いほど重症です。

超音波検査

前立腺の形態や大きさなどの評価・残尿測定ができます。腹部あるいは直腸エコー検査があります。

直腸診

前立腺の形態の評価ができます。肛門から指をいれて前立腺を直接、触って診察します。

尿量測定

尿量測定装置を用いて、尿の勢いや排尿量、排尿時間などを調べます。

血液検査:PSA測定

PSAは前立腺の細胞からつくられる物質で、前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎など前立腺に異常があれば、血液中のPSAの量が増えてきます。

治療

1)日常生活で注意すべきこと

前立腺肥大症は、日常生活を少し工夫するだけで症状をある程度軽くすることができます。日ごろから下記のような生活習慣を心がけましょう。

  • 軽い体操や散歩など、適度な運動をこころがける
  • 尿を我慢しないようにする
  • 適度な水分をとる:過剰な水分をひかえる
  • アルコールの飲み過ぎや夕食後のコーヒーも要注意
  • 便秘にならないように注意する
  • 刺激の強い食べ物は避ける
  • 下半身を冷やさないようにする
  • 自動車の運転など長時間座ったままの姿勢をとらないように注意する

2)薬物療法

1・前立腺を小さくするお薬

前立腺肥大症の発症と進行にかかわる男性ホルモンの活性を減らすことで、肥大した前立腺を小さくし、尿を出しやすくします。

5α還元酵素阻害薬

抗アンドロゲン製剤 副作用として勃起障害を起こすことがあります。

2・前立腺と膀胱・尿道の緊張を緩めるお薬

前立腺と膀胱・尿道の緊張を和らげたり、平滑筋を弛緩させたりすることで、尿道の狭窄や閉塞を減少させ尿を出しやすくします。前立腺を小さくする作用はありません。

α1遮断薬 副作用として逆行性射精(射精障害)が高頻度にみられるので注意を要します。

ホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害薬

3・漢方薬など

前立腺や尿道の平滑筋の緊張を和らげ尿を出しやすくします。

4・抗コリン薬の併用

過活動膀胱の治療薬を併用することで前立腺や尿道の平滑筋の緊張を和らげ尿を出しやすくします。

3)内視鏡手術

症状が重い場合や、お薬を服用しても効果が不十分な場合に手術療法が行われます。