過敏性腸症候群外来

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過敏性腸症候群外来

 仕事に行く途中の電車・バスの中、会議や試験の途中で腹痛を起こしてトイレに駆け込む、登校前に必ずお腹が痛くなる。このような症状でお悩みの方はおられませんか? 何日も便が出なくてお腹がはる、硬い便・コロコロ便が多く腹痛も伴う、このような症状でお悩みの方はおられませんか? 慢性的に下痢と便秘を繰り返し悩んでいる方はおられませんか?
 このような症状を引き起こすものに過敏性腸症候群(IBS)という疾患があります。大腸検査や血液検査などでは異常が認められないのが特徴です。

 原因は不規則な生活や暴飲暴食なども挙げられますが、多くの場合不安や緊張などのストレスだとされます。家庭や職場・学校などの人間関係や、環境の変化などさまざまなストレスにさらされている現代人ならではの疾患であると考えられます。特に神経が細やかでデリケートな性格の人に発症しやすいようです。年齢的には20〜30歳代の若い世代に多くみられますが、最近では思春期や学童期の小児にも増加しています。日本人のおよそ7人に1人がこのIBSに当てはまると推定されています。

 腹痛を伴う下痢が特徴の「下痢型」腹部の痛みやはりを伴う便秘が特徴の「便秘型」便秘と下痢の症状を併せもつ「混合型」これらのいずれともいえない「分類不能型」の4つがあります。


症状

下痢型IBS

 泥状便・水様便が多く、どちらかというと男性に多い傾向があります。腹痛・おなかの違和感・おなかがはる感じ・おなかがごろごろなる・残便感などが特徴です。そのほか、不眠・不安感・抑うつ・頭痛・頭重感・疲れ・めまい・背部痛・肩こり・吐き気・嘔吐・食欲不振などを伴う場合もあります。通常の食あたりによる下痢とは違います。

便秘型IBS

 便秘型IBSは、腹痛や腹部不快感がくりかえし出る、その症状によって排便回数や便の形状が変化する、排便によってお腹の症状が軽減するといった特徴があります。一般的な慢性の便秘(機能性便秘)と便秘型IBSには重なる症状も多く、はっきりと区別することが難しい場合もあります。
 一般的な便秘が高齢になるほど増加するのに対し、IBSは30代以下の若い年齢層に多くみられる傾向があり、高齢でも60代以上の男性では2.1%、女性では4.2%が便秘型IBSにあてはまると推定されています

混合型IBS

 混合型IBSは、便秘と下痢の両方が高頻度に生じるタイプです。たとえば、「3~4日お通じがなく、その後、最初に硬い便が出て、1日に数回下痢になる」といった症状は、混合型IBSの人に多くみられる症状です。
 便秘型IBSと同様に、混合型IBSも、20代では男性で5.5%、女性で11.8%と若い年齢層に多いとされますが、60代以上でも男性で3.0%、女性で4.2%が混合型IBSと推定されています。また、IBSは病気のタイプが移行することもあり、便秘型から腹痛のみや混合型へ、下痢型から混合型へ、混合型から下痢型へというようなケースが報告されています。


診断

 まずは詳細な問診と腹部の診察を行います。必要に応じて便の検査、血液検査、X線検査、大腸内視鏡などを組み合わせて行います。


治療

 過敏性腸症候群(IBS)は比較的長い期間続く病気です。しかし器質的な疾患ではありませんので、まずは症状に大きく影響を与えているストレスを解決したり、発散したりすることと、食生活を含めた生活習慣の改善など、リラックスした毎日を送ることができるように努めることが大切です。しかし、ストレスを解消するのは、現実問題として簡単なものではありません。日常生活では、食生活の乱れや睡眠不足、昼夜逆転などが、IBSを増悪させる要因になります。規則正しい食生活を心がけ、生活リズムの乱れを整えることで、症状の改善が期待できます。医師に相談し、治療や生活指導のアドバイスを受けることも、症状改善の近道です。


下痢型IBS

食事療法

 暴飲暴食は避け、規則的な生活を心がけ、香辛料や刺激物、冷たい飲食物、脂っこいものなどはなるべく避けましょう。乳製品やアルコールも下痢の原因となりますので、控えたほうがよろしいでしょう。ヤクルトなどの乳酸菌製品は、腸内環境を整えますので飲用をお勧めします。

運動療法

 適度な運動は腸の働きを整える効果が期待できるほか、気分転換・ストレス解消にもなります。体操やストレッチ、散歩などの軽い運動を生活に取り入れましょう。

薬物療法

 食事療法や運動療法では解消できない場合は、薬剤を用いて消化器の症状を抑えたり、ストレスや不安をとりのぞく治療を行います。


便秘型IBS

食事療法

 暴飲暴食は避け、規則的な生活を心がけ、水分は多めに摂取しましょう。ヨーグルトなどの乳製品やヤクルトなどの乳酸菌製品は、腸内環境を整えますので飲用をお勧めします。

運動療法

 適度な運動は腸の働きを整える効果が期待できるほか、気分転換・ストレス解消にもなります。体操やストレッチ、散歩などの軽い運動を生活に取り入れましょう。

薬物療法

 食事療法や運動療法では解消できない場合は、各種薬剤を用いて治療を行います。


 当クリニックでは、スムーズに行われなくなった胃腸の動きを正常に近づけていく効果を持つ消化管運動機能改善薬など従来の西洋薬のほか、症状に合わせて漢方治療も行います。生活リズムの改善や規則正しい食生活などのアドバイスを行い患者さんの症状に応じたオーダーメイド治療を心がけております。


おなかの症状で困っておられる方、ぜひ一度ご相談ください。