眼瞼けいれん、片側顔面けいれんに対するボトックス治療

▷院長ブログ「[院内勉強会]眼瞼けいれん・片側(へんそく)顔面けいれんに対するボトックス治療💉」2019/6/17(月)


眼瞼けいれん、片側顔面けいれんに対するボトックス治療

眼瞼けいれん・片側顔面けいれんでお悩みの方はおられますか?当クリニックでは、これらの疾患に対してボトックス治療を行っております。

1.眼瞼けいれん

 眼瞼けいれんとは、持続性・反復性にまぶたがれんしゅくする病態です。初期症状としては、まぶたの違和感・不快感、まぶしさや頻回なまばたきなどがあります。症状が進行すると、まぶたが頻繁にれんしゅくし、さらに進行すると意図的に目を開けることができなくなります。症状は通常、両側対称性です。

2.片側(へんそく)顔面けいれん

 片側顔面けいれんとは、顔面筋が発作性・反復性かつ意図せずにれんしゅくする病態です。通常は、れんしゅくは下まぶた、または上まぶたから始まります。初期にはまぶた周辺のみに限局することが多いのですが、進行すると口輪筋など他の顔面筋に広がります。通常、不規則・反復性ですが、重症例では持続性になります。ほとんどは片側性ですが、まれに両側性もあります。頭蓋内で顔面神経が脳動脈によって圧迫され、その拍動により起こることが多いと考えられています。また、脳腫瘍や脳梗塞などが原因の場合もあります。顔面けいれんの場合は、まずその原因となる器質的病変の有無を調べることから始めます。神経学的診察・脳CT・MRIなどを用いて脳内および脳血管などの精査を行います。脳CT・MRIなどは関連施設で行います。

3. 治療

 当クリニックでは重症な眼瞼けいれんおよび片側(へんそく)顔面けいれんに対するボトックス(ボツリヌス)治療を行っています。ボトックスはA型ボツリヌス毒素を有効成分とする骨格筋弛緩剤であり、発汗抑制効果もあります。ボトックスは末梢の神経筋接合部における神経筋伝達を阻害することにより筋弛緩作用を示し、筋のれんしゅくや緊張を改善します。

1)予約制

 ボトックス投与には、同意書に本人の署名が必要です。また、ボトックスは劇薬で保存が難しいため、同意書に署名いただいた際に、実際に投与する日時に合わせて注文をいたします。そのため、まずは一度ご来院ください。

2)保険適応

 眼瞼けいれんおよび顔面けいれんに使用する場合は、健康保険の適応になります。

3)投与方法

眼瞼けいれん

 通常、一つの眼に対して上下まぶた合わせて6部位の筋肉注射を行います。

 初めての場合は、通常1部位あたり1.25~2.5単位(合計15~30単位)を注射します。ボトックス50単位(一瓶)を生理食塩水2.0mLで溶解した場合、2.5単位/0.1mLになります。効果は通常3~4か月間持続しますが、症状が再発した場合は再投与します。ただし、2か月以内の再投与はなるべく避けた方が無難です。再投与は初回投与量の2倍までの容量を用いることができます。眼がうまく閉じられない、まぶたが下垂したなどの副作用が現れた場合は、再投与の用量は適宜減量します。

片側顔面けいれん

 通常、れんしゅくしている筋肉内に注射します。複数ある場合は分割して投与します。初めての場合は、合計で10単位を投与します。初回投与後4週間経過観察し、効果が不十分な場合は、さらに追加で合計20単位を上限として投与することができます。症状が再発したら、合計で30単位を上限として再投与できます。ただし、2か月以内の再投与は控えています。