ピロリ菌の除菌
1. ピロリ菌とは
ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)は、胃の粘膜に生息しているらせん形の細菌で、4〜8本の鞭毛(べんもう)と呼ばれる毛を持ち、活発に運動することが出来ます。ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素によって生成されるアンモニアを利用して身の回りをアルカリ性にすることで胃酸を中和しています。
2. ピロリ菌の感染について
感染経路としては、井戸水のころの「経口感染」が有力ですが、実際のところよくわかっていません。現在の日本では60歳以上で70%近い感染率があり、他の先進国に比べるととても高い感染率なのです。
3. ピロリ菌と胃粘膜障害
胃潰瘍、十二指腸潰瘍の90〜100%がピロリ菌に感染しているといわれています。ピロリ菌の除菌により著明に胃潰瘍、十二指腸潰瘍の再発が抑制されることから、潰瘍の発生にピロリ菌が関与していることは明らかです。しかし、ピロリ菌以外にもアルコールやタバコ、非ステロイド系消炎鎮痛薬、あるいは過度のストレスなども潰瘍発生の原因になることも忘れてはなりません。
ピロリ菌に感染した場合、10年後に約2.9%の方に胃がんを発症したのに対し、感染していない方では発症例はなかったという報告があります。除菌をすることで少しでも胃がんの発症リスクを下げられるのであれば、見逃せない数値であることは間違いありません。
「へリコバクター・ピロリ感染の診断と治療のガイドライン」では、医学的にピロリ菌感染者全員の除菌治療が、推奨されていることもうなずけます。
4. ピロリ菌の検査法
胃の中にピロリ菌がいるかどうかを調べる検査にはいくつかあります。
- 血中・尿中ピロリ菌抗体測定
- 便中ピロリ菌抗原測定
- 尿素呼気試験:検査前は8時間の絶食が必要で、検査には約30分間かかります
- 胃内視鏡にて直接胃粘膜を数か所採取し、顕微鏡で観察する方法
当クリニックでは、初回検査は血液検査にて血中のピロリ菌抗体を測定し診断しています。
除菌後は尿素呼気試験にてピロリ菌がいるかどうかの診断をします。
5. ピロリ菌の除菌方法
ピロリ菌に感染した胃炎に対しては除菌療法を行います。
1種類の「胃酸を抑える薬」と2種類の「抗菌薬」の合計3種類を同時に1日2回、7日間服用します。
1回目の除菌療法(一次除菌療法)で除菌に失敗しても、2回目の除菌療法(二次除菌療法)を受けることが出来ます。
一次除菌療法の成功率は約75%、一次除菌療法と二次除菌療法を合わせた除菌率は95%を超えるといわれています。
アルコールやタバコは胃酸分泌を促進することが知られていますので、除菌率を上げるために、除菌療法中は禁酒、禁煙につとめましょう。
実際の治療の流れ
一次除菌療法:ボノサップ800 1シート/7日間
・タケキャブ (20) 2錠/日
・アモキシリン (250) 6cap/日
・クラリス (200) 2錠/日
1か月以上経過後にピロリ菌が除菌されたかどうかの尿素呼気試験をして確認します。除菌されていなかった場合は、二次除菌療法を行います。
二次除菌療法:ボノピオン 7日間
・タケキャブ (20) 2錠/日
・アモキシリン (250) 6cap/日
・フラジール (250) 2錠/日
二次除菌してから一か月以上経過後に再度、尿素呼気試験をして確認します。除菌されていなかった場合は三次除菌療法を行います。ただし、三次除菌療法は自費になります。
6. ピロリ菌除菌の副作用
除菌療法の副作用として以下のような症状があります。主な副作用は軟便(下痢)と味覚障害です。
- 軟便(下痢)
- 味覚障害
- 肝機能異常
- 発疹やかゆみ
いずれの症状も重症化することはまれですが、おかしいなと感じたら、自身の判断で服薬を中止するのではなく、医師にご相談下さい。
7. 費用
検査・治療
健康保険の場合
以下の所見が胃内視鏡あるいは胃バリウム検査にて認められれば健康保険の適用になります。
- 胃潰瘍または十二指腸潰瘍がある
- 胃がんがある
- ピロリ菌がいそうな胃炎がある(ヘリコバクター・ピロリ胃炎)
健康保険適用外(自費)の場合
- 検査料:血液検査…6,000円(税込)尿素呼気検査…7,000円(税込)
- 一次除菌療法:14,000円(税込)…診察料・一次除菌薬7日分込み
- 二次除菌療法:12,000円(税込) …診察料・二次除菌薬7日分込み
- 三次除菌療法:5,000円(税込)…診察料のみ(薬剤料金が別にかかります)