アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症

わが国の認知症者は高齢化の進展とともに増加の一途をたどっております。健康な方でも高齢になるにつれて認知症のリスクは高まります。認知症の人が住み慣れた地域で自分らしく暮らすことができるよう、社会全体で認知症の人を支えていくことが一層求められております。

アルツハイマー病は、認知症の原因疾患の中で最も多く、発症する約20年前ころから原因物質(アミロイドベータペプチド)が脳内に蓄積され認知機能が少しずつ低下していく疾患です。認知症は、物忘れのみならず、日時の把握の混乱・自発性や意欲の低下・怒りっぽいなど様々な日常生活の機能の低下が初期症状としてみられます。糖尿病・高血圧・高脂血症などの生活習慣病も認知症の発症リスクですので、健康診断などで異常を指摘された場合は医療機関を受診し適切な治療を受けることが大切です。

最近の研究では初期の段階(軽度認知症:MCI)から治療を開始すれば認知症の発症を遅らせたり予防できることがわかってきました。認知症の人の日常生活状態をできる限り長く維持することが大切であり、一度失われた神経細胞は元に戻らないことからも、ケアや非薬物療法に加え、認知機能の低下を少しでも遅らせることを目的とした適切な薬物療法を、できる限り早い段階から開始することが重要です。

最近の研究により、NMDA受容体拮抗薬とコリンエステラーゼ阻害薬の併用療法は、コリンエステラーゼ阻害薬単独療法に比べ、さらなるシグナル伝達の改善がなされ認知機能の低下を有意に抑制できることが示されました。NMDA受容体拮抗薬はCa2+の細胞内への過剰な流入を抑制することにより神経細胞保護効果を有し、コリン作動性神経細胞の変性や脱落を抑制することから相乗効果も期待できます。NMDA受容体拮抗薬とコリンエステラーゼ阻害薬の併用療法は作用機序の面からも理にかなった治療法であり、認知機能障害の進行を抑制するためには最適な療法であるとされています。当クリニックでもこの併用療法を積極的に行っています。