世界初「ジタン系」の片頭痛治療薬「レイボー」

世界初「ジタン系」の片頭痛治療薬「レイボー」

2022/6/11(土)

みなさん、おはようございます。梅雨入りして、気圧が下がるため片頭痛が起きやすくなる方もいらっしゃるのではないでしょうか。僕は歩きと電車で通勤しているため、梅雨時は傘を持って歩いたり、ズボンが濡れてしまったりで少し大変ですが、今年も通勤途中の紫陽花に癒されています。

今日は、「片頭痛が辛いけれど、自分に合う頭痛薬がない」という悩みを抱えている方に朗報です。6月8日に「ジタン系」という新しいタイプの片頭痛治療薬が発売され、当クリニックでも治療に使い始めました。レイボー(日本イーライリリー&第一三共)というお薬で、片頭痛発作を引きおこしている脳の神経に直接はたらき、片頭痛発作の症状を和らげると考えられています。

片頭痛専用のお薬として20年前に出た「トリプタン系」のお薬は、頭痛の原因物質が出るのを抑制する際に、一緒に血管にも作用して血管を収縮させる作用があるため、胸が苦しくなったり倦怠感などを感じて、お薬を使うことができない患者さんも少なくありませんでした。レイボーは血管収縮への影響が少ないため、これまでトリプタン系のお薬が使えなかった患者さんには期待できると思います。

また、レイボーは、頭痛の「改善度」だけではなくて「消失度」もみた試験で評価をしているため、「少し痛みがやわらいだ」ではなく「痛みが消えた」状態を期待できるお薬です。

今回のレイボーは、飲むタイミングについても特徴があります。これまでのトリプタン系のお薬は「頭痛が起きたらすぐに飲む」ことによって頭痛を悪化させないようにすることが大切でしたが、レイボーは飲むタイミングが効果に影響しにくいお薬です。

そして、服用してから24時間後も効果が持続すると言われています。

ただ、血管への副作用は少ないのですが、脳の興奮を抑えて脳を休ませるお薬のため、眠気やめまいがでるという副作用が報告されています。そのため、レイボーの服用後は、運転は避けなければいけません。

この、新しいジタン系のお薬「レイボー」は、これまでトリプタン系のお薬が効かなかったり、副作用が出て使えなかった患者さんには、ぜひ使っていただきたいと思います。現在の頭痛薬の効き目に満足できていない方は、ぜひ、ご相談くださいね。