[院内勉強会]水ぼうそうと帯状疱疹の関係🌸

[院内勉強会]水ぼうそうと帯状疱疹の関係🌸

2020/3/20(金)

 みなさん、こんにちは。今日は春分の日ですね。夕方早い時間に暗くなってしまうと少し寂しい感じがするので、これから日が長くなるというのは嬉しいです。桜が開花したというのでお花見をしたかったのですが、東京の桜、満開まではまだかかりそうですね。散歩をしていたら、綺麗な花が咲いているのを見つけました。

 さて、今日は帯状疱疹のお話です。帯状疱疹が疑われる場合の検査キット「デルマクイック®」と新しい治療薬「アメナリーフ®」についてで、両方ともマルホ株式会社のものです。

 まず、水ぼうそうと帯状疱疹の違いをご存知でしょうか?実は、この二つはどちらも、同じ水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こります。子どもの頃に初めて感染して水ぼうそうとして発症したあと、ウイルスは体の中の神経節に潜んでいるんです。そして、加齢やストレス、過労などが引き金となって、再び活動をはじめて帯状疱疹として発症することになります。


 帯状疱疹の発症は50代以上に多く見られますが、過労やストレスが引き金となり、若い人にも発症します。そして、通常は生涯に一度しか発症しませんが、免疫力が低下している患者さんなどは再発することもあります。2回以上帯状疱疹にかかる人は、全体の約4~6%です。

 特徴的な症状ですが、身体の左右どちらか一方にピリピリと刺すような痛みと、それに続き赤い斑点と水ぶくれが帯状に現れます。この、帯状に現れる斑点や水ぶくれに由来して帯状疱疹と名づけられました。

 帯状疱疹としてうつることはありませんが、水ぼうそうに一度もかかったことのない人には、水ぼうそうとしてうつる可能性があります。口からウイルスが広がることはまれですが、水ぶくれからウイルスが出て感染することがあるため、皮膚の症状が治るまでは、水ぼうそうにかかっていない赤ちゃんや子供、妊婦さんと接触しないようにしましょう。

 急性期の痛みは皮膚や神経の炎症によるもので、通常は皮膚の症状が治ると痛みも消えますが、その後もピリピリと痛みが数ヶ月持続することがあります。これを帯状疱疹後神経痛といいます。これは急性期の炎症のよって神経に強い損傷が生じたことにより起こる後遺症です。

 僕は帯状疱疹になったことがないのですが、症状がでた患者さんに聞くと、神経痛のため相当強い痛みのようです。帯状疱疹が疑われる場合、当クリニックではデルマクイック®VZVという検査キットを導入していて、水ぶくれや湿疹から少しの液を採取すると、10-15分間で帯状疱疹かどうかの診断ができます。

 皮膚の病変は、お薬による治療でかえって悪化する場合もありますので、きちんと診断することが重要です。この検査により帯状疱疹と診断された場合は、抗ヘルペスウイルス薬の飲み薬で治療を行います。

 そこで、今回勉強会をしたのが、新しい抗ヘルペスウイルス薬であるアメナリーフ®です。発症してから早期に治療を開始するほど効果が期待でき、目安としては皮膚の症状が出てから5日以内に飲み始めることが望ましいとされています。ただし、飲んでから効果があらわれるまで2日間ほどかかりますので、継続して飲んでいただくことが大切です。また、痛みが強い場合は、症状に応じて痛み止めを処方します。

 皮膚のピリピリ感に始まり帯状に赤い斑点、水ぶくれといった症状が出て帯状疱疹が疑われる場合には、後遺症を残さないためにも、早めに検査を受けることをお勧めします。また、50歳以上の方や、糖尿病などの基礎疾患を持つ方は発症リスクが高まるため、帯状疱疹ワクチンの接種を推奨しています。ちなみに、ワクチンの効果は接種後10~15年間といわれています。

 マルホ株式会社のMRさん、今回も有意義な勉強会をありがとうございました。