投稿日:2016年2月28日|カテゴリ:院長コラム

高リスクの患者さんに対して、収縮期血圧目標120mmHg未満に厳格に降圧治療を行った場合と、収縮期血圧140mmHg未満に標準的な降圧治療を行った場合とで、心血管イベント、心血管死にどのような影響を及ぼすかを検討した研究結果が、2015年11月にNew England Journal of Medicineという医学雑誌に報告され、注目を集めているので、ご紹介させていただきます。

この臨床試験は、SPRINT (Systolic Blood Pressure Intervention Trial) と呼ばれます。日本語に訳したら、「収縮期血圧介入試験」ですね。

 

対象患者さんは以下の通りです。

・50歳以上

・収縮期血圧 130-180mmHg

・以下のリスク因子1つ以上:心血管病の既往、慢性腎臓病、フラミンガムリスクスコアの高リスク、75歳以上

※糖尿病、脳卒中既往の患者さんは除外されました。

 

9361例が登録され、厳格降圧治療群(収取期血圧目標120mmHg未満)が4678例、標準降圧治療群(収縮期血圧目標140mmHg未満)が4683例に無作為に割り付けられ、追跡されました。

 

収縮期血圧の変化は以下の通りになりました。

             開始時→1年後→終了時

厳格降圧治療群     139.7 → 121.4 → 121.5

標準降圧治療群   139.7 → 136.2 → 134.6

結果は、複合主要評価項目(冠動脈疾患・脳卒中・心不全、心血管死)の発生が、中央値3.26年で、厳格降圧治療群の方が標準降圧治療群よりも低いことが確認され、予定より早く中断されました。

厳格降圧治療群:243例 (1.65%/年)

標準降圧治療群:319例 (2.19%/年)

→ハザード比 0.75 (95%信頼区間 0.64-0.89)

分かりやすく言うと、厳格に降圧することにより、心血管疾患、心血管死の発生が25%減少したということです。

 

しかしながら、厳格降圧治療群では、標準降圧治療群と比べて、低血圧、失神、電解質異常、急性腎障害の発生が増えていました。そのため、積極的な降圧治療を行うに当たっては、十分な注意が必要と考えれられます。