投稿日:2016年1月29日|カテゴリ:院長コラム

1月28日(木)、日本医科大学附属病院総合診療科主催の第3回そうしん谷根千カンファレンスに参加しました。「そうしん」は、「総合診療科」の略、「総診」のことです。

日本医科大学大学院医学研究科神経内科学教授の木村和美先生の講演を拝聴しました。大変わかりやすいお話であったので、ここでその内容をご紹介させていただきます。タイトルは、問診で分かる「めまい」の鑑別、ということで、「めまい」についてのお話でした。

 

めまい診療のポイント

・高齢者のめまいは要注意(重大な疾患が原因である可能性を考慮)。

・めまい=メニエール病の診断はやめよう。

・診断はともかく重大な疾患(頭蓋内疾患、心疾患)を見逃さない。

 

注意が必要なめまい

・発作が初めて

・5分以上続く

・歩けない

・手足のしびれ

・複視(物が二重に見える)

・後頸部痛

・脈が不整(心房細動)

 

めまいが起こる理由

姿勢のバランスを保つ機能の異常

・耳(内耳)

・脳(小脳、脳幹)

・血圧変動

・不安・ストレス

 

めまい問診のポイント

①回転性めまい(グルグル回る感じ)(vertigo) ⇒末梢性疾患(耳が原因)に多い

②浮動性めまい(フワフワした感じ)(dizziness) ⇒末梢、中枢(脳が原因)の様々な疾患

③立ちくらみ(気が遠くなる感じ)(presyncope) ⇒循環器疾患などの全身性疾患

 

回転性めまい(①)

急に発症し、吐き気・嘔吐、耳が聞こえづらくなるなどの症状を伴うことあり。

多くは耳の異常が原因。

脳の異常(脳出血、脳梗塞など)でも回転性めまいが起こることあり。

 

浮動性めまい(②)

フワフワする感じと、頭痛やしびれ、運動麻痺などの神経に関係する症状を伴うことあり。

浮動性めまいの多くは、脳の異常が原因。

 

立ちくらみ(③)

立ち上がるとクラッとしたり、目の前が暗くなったりするめまいは、血圧の変動に関係する全身性の病気が原因として考えられる。

 

耳の異常

・耳石の侵入

内耳の前庭にある耳石がはがれ、三半規管に入り込んでしまう。⇒良性発作性頭位めまい症

・リンパの増加

内耳を満たしている液体である「内リンパ」が増え過ぎた状態を内リンパ水腫と呼び、めまいの他、難聴や耳鳴り、耳が詰まった感じなどの症状が現れることあり。

⇒メニエール病

・神経の炎症

前庭神経に炎症がおこる。⇒前庭神経炎

前庭神経炎は風邪を引いた後に発症することが多い。ウイルス感染や血液の循環障害が原因で炎症が起こる可能性が考えられている。

・他 外リンパ瘻 中耳炎

 

良性発作性頭位めまい症

・めまいの中で一番多い原因(めまいの約60%)。

・朝に起こりやすい。

・女性に多い(約3倍)。

・頭を動かしたり、朝起きようとして枕から頭を上げたりした後などに、急激な回転性めまいが起こる。

・めまいは長くても数十秒で消失(1分未満)。

・何回か同じ動作を繰り返していると、だんだん症状が軽くなる。

・嘔気を伴うことがあるが、難聴や耳鳴りなどの聴覚の症状は伴わない。

・起こりやすい人:運動不足、寝相が良い、パソコンをよく使う。 ∵耳石が砕けない。耳石が再び塊になる。

・予防:運動⇒耳石が砕けやすくなる。

    高い枕⇒耳石が三半規管に入りにくくなる。

    起床時に運動⇒朝起きたら、(横になったまま)、上10秒、右10秒、上10秒、左10秒を10セット(NHK「ためしてがってん」より)。

 

メニエール病

・内科でみるメニエール病は、めまいの約0.5%。

・誘因なく突然、回転性めまいが起こり、めまいと同時に、あるいはめまいの少し前から、片耳に耳鳴りや耳の閉塞感、難聴が起こる。

・めまいの間隔は、数日、数週間、数か月、あるいは1年に1回など様々。

・激しいめまいは、通常30分くらいから数時間続き、めまいの軽快とともに耳鳴り、耳の閉塞感、難聴は軽減・消失する。

・めまいを何回も繰り返しているうちに、めまいがおさまっても耳鳴りや難聴は軽快しないようになる。

・めまいが激しい時は、これらの症状以外にも嘔気、嘔吐、冷や汗、動悸などが起こり、かえってこれらの症状の方が辛いこともしばしばあり。

・診断は最近はMRIで内リンパ水腫を描出することによって行われる。

・治療法:水分を控える

      利尿薬

      手術

      水分摂取療法 2L/日

 

前庭神経炎

・激しい回転性めまいが急に起こり、通常数日から1週間継続する。

・嘔気、嘔吐、冷や汗を伴うが、難聴や耳鳴りなどの聴覚の症状を伴わないのが特徴。

・めまいはその後、少しずつ軽くなっていくが、発症から1週間程度は歩行に困難を感じる。

・めまいは発症から3週間くらいでほぼ治まるが、体を動かした時や歩く時のふらつきは、しばらく持続するのが一般的。時には半年くらい経過してもふらつきが持続することがある。

 

脳の異常

・脳梗塞 脳出血

・脳腫瘍

・椎骨脳底動脈循環不全

急性期はCTでは脳梗塞(小脳梗塞、脳幹梗塞)はわからない⇒MRIが診断に有用

 

めまい、頭痛を伴う脳梗塞は怖い

・椎骨動脈解離:若い人に多い。頭痛・めまいから始まる。延髄外側梗塞、くも膜下出血を起こすことあり。

・脳底動脈閉塞:めまいから始まる。意識障害・四肢麻痺を起こすことあり。

・小脳梗塞:めまいから始まる。急に意識障害・呼吸停止を起こすことあり。

 

めまい診断のコツ

・上を向いた時にめまいがする。枕を頭につける時、急に起き上がる時にめまいがする。

⇒若い人なら、良性発作性頭位めまい症。中高年者なら椎骨脳底動脈系(脳幹・小脳の病変)の障害も念頭におく

・めまいとともに耳鳴り、難聴が増強し、めまいの消褪とともに耳鳴り、難聴も改善。

⇒メニエール病 ※症状が1回限りではメニエール病とは言わない。

・風邪症状が2週間から1ヶ月以内あった。

⇒前庭神経炎 ※耳鳴りを伴っていれば前庭神経炎ではない。

・中高年者のめまい

⇒脳幹・小脳の病変を念頭におく。

☆頭痛、しびれ、複視があれば、頭蓋内疾患の可能性を考える。

 

日本医科大学附属病院総合診療科には、今後お世話になることがあると思いますので、どうぞよろしくお願いします!