投稿日:2015年6月25日|カテゴリ:医学情報

超音波セミナー2015   2015/06/20 (Sat)

日常診療における頸動脈エコーの活用法 ~手技と意義について~

東京都済生会中央病院 放射線科 金田 智 先生

 

*頸動脈エコーの表示法

東京都済生会中央病院の末梢血管表示法

1)頭部、その他の血管とも、体軸に対する横断像については、被検者の尾側から眺めた像、縦断像については、被検者の右側から眺めた像とする。血管の長軸像、短軸像とは関係なく、他の臓器と同じ表示法とする。

2)対象とする部位の基幹動脈の正常血流を赤く(ドプラ波形では上向きに)表示する。依頼医師、被検者に画像を見せた時にわかりやすい表示とする。

 

*頸動脈エコー検査の実際

1)カラーをのせながら横断走査で観察(必ず内頚動脈、外頚動脈の分岐を確認する)。縦断走査で観察。

2)総頚動脈、内頚動脈、外頚動脈のドプラ波形をとる。総頚動脈でIMTを測る。

3)椎骨動脈のドプラ波形をとる。

 

*頸動脈エコー手技の覚えておきたいテクニック

・まず横断像で全体を把握する。

・内頚動脈遠位は、胸鎖乳突筋背側からアプローチする(遠位部狭窄を見落とさないために)。

・椎骨動脈が逆流していたら、必ず腋窩動脈または上腕動脈の左右差を確認する。

 

*頸動脈エコーを見るポイント

1.内中膜厚とプラークの計測→予後の予測

2.プラークの性状→治療に直結

3.狭窄・閉塞の評価→治療に直結

※ IMT = Intima and Media Thickness     内中膜厚

       IMC = Intima and Media Complex      内中膜複合体

 

*StudyにおけるIMT計測

・ IMTを計測して、薬剤投与などの介入試験の効果の指標とする。

  →定点観測でIMTの変化を見る。

  →頸動脈全体の平均値の変化を見る。

・ IMTを計測して、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクの指標となるか検討する。

  →最も肥厚している部位で評価する。

  →頸動脈全体の平均値で見る。

 

*IMTは全身の動脈硬化の指標となるか?

・ 全身の動脈硬化と確かに相関あり。

・ 虚血性心疾患のスクリーニングに使えるわけではない。

中等度リスクの被検者では計測の意義あり。

低リスク・高リスクの被検者では不要。

 

*プラークの定義

・ 日本脳神経超音波医学会によるプラークの定義

―外膜より1.1mm以上の厚みを持つ部分をplaqueと定義する。

・ 日本超音波医学会によるプラークの定義

―最大の厚みが1mmを超え、IMC表面に変曲点を有する限局性の隆起性病変をプラークと称する。

・ ESH, ESC, 2007年高血圧治療ガイドラインによる定義

―IMT>1.3mmまたは1.5mm

 周囲IMCに比べて0.5mm以上厚い限局した隆起

 周囲IMCの1.5倍の厚さである限局した隆起

・ Mannheim Intima-Media Thickness Consensusによる定義

―IMT> 1.5mm

 周囲IMCに比べて0.5mm以上厚い限局した隆起

 周囲IMCの1.5倍の厚さである限局した隆起

 

*IMT肥厚かプラークか

IMTの肥厚は動脈硬化の初期病変で、厳密な区別はできない。

一般的には

・ 盛り上がっていればプラーク。

・ あまりにも厚いときもプラーク。

→ESH, ESC, Mannheim Intima-Media Thickness Consensusの定義

※IMT測定時、ミラーイメージをIMT肥厚と間違わないこと。

 

*プラークの性状

1.やや高エコー

2.低エコー(50%以上狭窄でリスク高い)

3.石灰か

4.不均一

5.潰瘍形成(狭窄を伴うもの、大きいもの、複雑なものはリスク高い)

6.可動性のあるプラーク

2,5,6:ハイリスクプラーク

2,6:不安定プラーク

※低エコープラークの場合、プリセットのままだと見えないが、ゲインを高めに調整すると見えることがある。

 

*カラーの「乗り」が悪いとき

1.角度の調整→血管とビームの角度をつける。

2.感度不足→カラーゲインとPRF (Pulse Repetition Frequency) を調整する。カラーゲイン↑、PRF↓

3.中心周波数を下げる。

4.フォーカスを目的の血管より深く設定する。

5.パワードプラを使用する。

6.低周波数のプローブを使用する。

※カラーのらなくても、ドプラ波形をとってみる。

 

*動脈狭窄の超音波像

1.Bモードもしくはカラードプラ法で内腔・血流の狭小化

2.限局した血流速度の増加

3.遠位部での乱流の存在

 

*NASCETとECST

NASCET:

1)超音波検査では遠位部の内頚動脈径がはかりにくい。

2)狭窄部の位置にかかわらず、狭窄部の径で決まる。

ECST:

1)超音波検査ではかりやすい。

2)狭窄部の径は同じでも、位置により狭窄率がかわる。

Gregory W. Albers et al. Stroke. 1999;30:2502-2511

Gregory W. Albers et al. Stroke. 1999;30:2502-2511

 ※内腔が正円でないことがあり、スキャンできる断面が限定されることがあるため、径狭窄率を正確に測ることは難しい。また、狭窄部に対してビームの入る向きが限定されるので、断面積による狭窄率の正確な計測も難しい。しかしながら、狭窄があった時にはひとつの目安として記載する。狭窄率を記載する時は何で測った狭窄率かを必ず記載する。

 

*血流速度の評価の仕方

内頚動脈狭窄部の最高血流速度が200cm/sec以上ではNASCET 70%以上の高度狭窄と判断。

ただし、

・ 対側が狭窄していると血流速度は上昇する。

・ 超高度狭窄では逆に血流が低下する。

 

*内頚動脈高度狭窄と閉塞

・ 臨床的な意義は大違い。

・ 高度狭窄→脳梗塞をこれからおこしうる。

・ 閉塞→新たな脳梗塞の原因にはならない。

・ 条件合わせを確実にする。

  流速レンジを下げて、ドプラゲインを上げる。6MHzの低周波プローブを使用する。