投稿日:2015年3月10日|カテゴリ:院長コラム

今日は、クラシエの方に、「六君子湯」について説明していただきました。

 

*四君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草)は、人参の建胃、補気作用を中心にして、脾気虚(胃腸機能低下)を改善して、気力を回復させる基本生薬です。これは、六君子湯、補中益気湯、人参養栄湯、十全大補湯、加味帰脾湯に含まれています。

 

*次のような症状があれば六君子湯を!

「食べたいのに入らない」

「お腹が重い、張る」

 

*六君子湯に配合される主な生薬

補気健碑(消化吸収機能を高め、元気をつける):人参、白朮、茯苓

利水(水の巡りを良くすることで、むくみや嘔吐、下痢などを改善):白朮、茯苓

理気・化痰(気を巡らせ、胃腸の蠕動運動を調整して、つかえや膨満感を除き、消化吸収を補助):陳皮、半夏、生姜

 

*六君子湯の作用機序

①食道クリアランス改善(逆流した胃酸を食道から胃内に押し戻す)

②胃貯留能改善

③胃排泄能改善

④グレリン分泌促進作用(※グレリン:胃で作られるホルモンで、下垂体に働き、成長ホルモンの分泌を促進し、視床下部に働いて食欲を増す働きを持っています)

⑤胃粘膜血流改善作用

⑥食道粘膜のバリア機能改善作用

⇒食欲不振や胃の不快感などの症状を持っている患者さんに有効です。

 

*六君子湯はあまりご飯が食べられないという患者さんにも有効です。

健康な方では、食べ物が胃に入ってくると、胃の上部を中心に胃が拡張します(適応性弛緩)。健康な人の生理的機能です。

すぐにお腹が一杯になる患者さんでは、食べ物が入ってきても胃が上手く拡張しない(胃が硬くなっている)ような状態だと、少しの量を食べただけですぐにお腹がいっぱいになってしまいます(適応性弛緩の障害)。機能性胃腸症患者さんの約40%に認められるという報告があります。

 

*機能性ディスペプシアに対する分2(1日2回服用)製剤の六君子湯の効果についての検討

※機能性ディスペプシア:みぞおちの痛み、食後の膨満感などの上腹部症状を訴え、内視鏡検査などで症状を説明しうる逆流性食道炎や胃・十二指腸潰瘍などの器質的疾患が無い例を機能性ディスペプシアと呼びます。(日本消化器病学会ホームページより)

・食後愁訴、心窩部痛ともに改善しました。

・患者さんの印象としては、六君子湯を単独投与で軽度改善以上が84.4%ありました。

・指示通り服薬した割合が87.5%と服薬アドヒアランスは良好でした。

 

*六君子湯の逆流性食道炎への応用

プロトンポンプ阻害薬(胃酸の分泌を抑制する薬)で効果が不十分である胃食道逆流症の患者さんに対する六君子湯の有効性についての検討(J Gastroenterology 47: 284-292, 2012)

胃食道逆流症治療のためにプロトンポンプ阻害薬の1種であるラベプラゾール10mg/日を4週間以上投与したにもかかわらず、胃食道逆流症の症状(胸焼け、呑酸など)があまり改善していない患者さんを、六君子湯群(六君子湯7.5g/日+ラベプラゾール10mg/日)、プロトンポンプ阻害薬倍量群(ラベプラゾール20mg/日)に分けて、治療の効果を検討しました。

・両群ともほぼ同程度、症状の改善が認められました。

・六君子湯群はプロトンポンプ阻害薬倍量群よりも男性に改善率が高いという結果でした。また痩せた(BMI<22)患者さんの方がより高い治療効果が得られました。

 

六君子湯は、食欲不振、胃痛、腹部膨満感などの消化器症状がある患者さんに対して、効果が期待できますね。