投稿日:2015年3月6日|カテゴリ:医学情報

エリキュース適正使用講演会 in 小石川 20150304 (水)

 

① 「循環器疾患の連携 ―心不全患者などの紹介のタイミングは?―」

   日本医科大学大学院医学研究科循環器内科学分野 准教授 浅井邦也 先生

 

*心不全の重症度分類

AHA/ACC (American Heart Association / American College of Cardiology)ステージ分類

ステージA:危険因子を有するが、心機能障害がない

ステージB:無症状の左室収縮機能不全

ステージC:症候性心不全

ステージD:治療抵抗性心不全

ステージDであれば、すぐに循環器内科に紹介すること。

 

*急性呼吸困難患者におけるNT-proBNP値

   <300  心不全の可能性は低い

   >1000 まず心不全

 

*BNP>100, NT-proBNP>400⇒心不全を疑う

 

*BNPとNT-proBNPの違い

BNP:半減期が21分で不安定であり、氷冷が必要。EDTA入りの採血管を使用しなければならない。

NT-proBNP:半減期が60-120分で安定。血清で測定ができ、採血後の検体での保存安定性も良好なことから、他の生化学項目と同一採血管での測定が可能。100%腎臓で代謝されるため、 BNPよりも腎機能の影響を受けやすい。

 

*BNP/NT-proBNPが上昇する原因

(1) 心筋進展

(2) 心室肥大

(3) 体液量↑

(4) 腎臓からの排泄↓

(5) 神経体液性因子、サイトカインによる刺激

(6) 心筋虚血

 

② 「心房細動の病態と治療 ―新規抗凝固薬の使い分けを考える―」

   日本医科大学大学院医学研究科循環器内科学分野 教授 清水渉 先生

 

*統計:70歳以上では、男性の約4%、女性の約2%が心房細動に罹患

 

*心房細動治療(薬物)ガイドライン(2008年改訂版)では,ワルファリンの至適治療域として70歳未満:PT-INR 2.0-3.0,70歳以上:1.6-2.6が推奨。

 70歳未満:PT-INRのコントロールが甘く、underdoseになっている。

 70歳以上:PT-INR 2.6を超すと頭蓋内出血が増加する。

 

*ワルファリン問題点

(1) 定期的なモニタリング

(2) 狭い治療域

(3) 食事制限

(4) 薬物相互作用

(5) 薬物抵抗性

(6) 導入・用量調節に時間がかかる   など

 

*CHADS2スコアによるリスク評価

危険因子         点数

心不全           1

高血圧           1

75歳以上          1

糖尿病           1

脳卒中/TIAの既往   2

 脳梗塞の年間発症率 CHADS2スコア 0点:1.9%  1点:2.8%  2点:4.0%  3点:5.9%  4点:8.5%  5点:12.5%  6点:18.2% (JAMA 285: 2864-2870, 2001)

 

*新規経口抗凝固薬の種類

①ダビガトラン(プラザキサ®)       直接トロンビン阻害薬

②リバーロキサバン(イグザレルト®)   第Xa因子阻害薬

③アピキサバン(エリキュース®)      第Xa因子阻害薬

④エドキサバン(リクシアナ®)       第Xa因子阻害薬

 

*新規経口抗凝固薬の大規模臨床試験

RE-LY試験(ダビガトラン)

ROCKET AF試験(リバーロキサバン)

ARISTOTLE試験(アピキサバン)

いずれもワルファリンと同等またはそれ以上に有効であることが示され、安全性に関しては、頭蓋内出血が少ないという結果が示された。

アピキサバンは他の新規経口抗凝固薬に比べて、消化管出血が少ない。

抗凝固療法の適応に関しては、心房細動治療(薬物)ガイドライン 2008年版では、脳梗塞の発症率を評価するCHADS2スコアが2 点以上で適応となっていた。その後、上記の臨床試験の結果から、心房細動治療(薬物)ガイドライン 2013年版では、CHADS2スコア1点でも、ワルファリンに比し出血のリスク、特に脳出血のリ スクが少ないダビガトラン/アピキサバンの使用が推奨されるようになった。

 

*新規経口抗凝固薬の特徴

①ダビガトラン

〇低用量220mg/日のエビデンスあり

〇軽症例、75歳未満、Ccr≧50ml/minの症例に良い

×中等症以上の腎機能低下、消化管出血、消化器症状

②リバーロキサバン

〇CHADS2スコア2点以上のエビデンスあり

〇1日1回

×ワルファリンに対する優越性なし

×低用量のエビデンス少ない

③アピキサバン

〇中等症~重症例、65歳以上、軽症以上の腎機能低下(Ccr<80min/min)の症例に良い

×低用量エビデンス少ない

※ダビガトラン、アピキサバンは1日2回服用であるが、1日1回よりも休薬時使用しやすい。