投稿日:2015年1月29日|カテゴリ:院長コラム

今日は、新しい機序の睡眠薬であるスボレキサント(ベルソムラ®)に関する話を聞きました。

まず初めに、ベルソムラ(Belsomra)という名前ですが、フランス語で、belle美しい+som睡眠→「美しい睡眠」に由来します。

スボレキサントは世界初のオレキシン受容体拮抗薬です。オレキシンは1998年に、柳沢正史先生、櫻井武先生らが発見した神経ペプチドの一種で、視床下部から分泌されます。オレキシンは覚醒の維持に関与していて、このオレキシンを作り出す神経細胞が働かなくなるために日中に突然強い眠気が出現して、眠り込んでしまう病気がナルコレプシーです。オレキシンはオレキシン受容体に結合して、覚醒の状態を起こします。スボレキサントはオレキシンがオレキシン受容体に結合するのをブロックして、覚醒を抑えて、眠りやすくなるということです。

ブロチゾラム(レンドルミン®)などのベンゾジアゼピン系薬剤は反跳性不眠(睡眠薬の服用を中止することで、服用前よりも強い不眠が起こること)を生じるため、睡眠薬依存症を起こすを言われていますが、スボレキサントは反跳性不眠を起こさないため、依存症を起こしにくいとされています。

効果の持続時間は約6~7時間で、入眠障害、中途覚醒の改善効果があります。

スボレキサントは肝臓でCYP3Aという酵素によって代謝されるため、以下のCYP3Aを強くブロックする薬剤と一緒に服用すると、効果が強く出すぎてしまうため、併用できません。

<抗真菌薬> イトラコナゾール(イトリゾール®)、ボリコナゾール(ブイフェンド®)

<抗菌薬> クラリスロマイシン(クラリス®)

<抗HIV薬> リトナビル(ノービア®)、サキナビル(インビラーゼ®)、ネルフィナビル(ビラセプト®)、インジナビル(クリキシバン®)

<抗HCV薬> テラプレビル(テラビック®)

反跳性不眠を起こさず、睡眠薬依存症の心配があまり要らないというのは大きなメリットですね。